災害時のSNS情報「これ本当?」信頼できる情報源で確認する3つのステップ
はじめに:なぜ災害時にSNS情報の確認が大切なのか
災害が発生した時、スマートフォンなどを通じて様々な情報が次々と目に入ってくることと思います。特にSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、速くたくさんの情報が流れてくる便利な道具です。安否の確認をしたり、今いる場所の状況を知ったり、支援の情報を得たりと、とても役立ちます。
しかし、SNSに流れる情報の中には、残念ながら正しくない情報、いわゆる「デマ」が含まれていることがあります。デマを信じて行動してしまうと、かえって危険な目にあったり、混乱を招いたりする可能性があります。特に災害時は、正しい情報に基づいた落ち着いた行動が非常に重要になります。
「SNSは難しそうでよく分からない」「デマに騙されないか心配」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。このページでは、災害が起きた時にSNSで流れてくる情報が本当に正しいのかどうか、落ち着いて確認するための簡単なステップをご紹介します。
SNSで流れる情報には注意が必要です
災害時には、以下のような様々な理由で、意図せず不確かな情報やデマが広がることがあります。
- 情報が錯綜し、混乱の中で正確な情報が見えにくくなる
- 古い情報や、別の場所で起きた出来事に関する情報が混ざってしまう
- 誰かを助けたいという善意から、確認せず情報を広めてしまう
- 悪意をもって嘘の情報を流す人がいる
こうした情報に惑わされないために、情報を受け取ったときに少し立ち止まり、「これは本当かな?」と考えてみることが大切です。
情報を確認するために準備しておきたい「信頼できる情報源」
SNSの情報が正しいかを確認するためには、「これは確かだ」と言える基準が必要です。その基準となるのが、「信頼できる情報源」です。災害時に信頼できる情報源としては、主に以下のようなものがあります。
- 公的機関:
- 気象庁(気象情報、地震情報、津波情報など)
- 国や都道府県、市区町村の役所(避難情報、被害状況、支援情報など)
- 警察、消防、自衛隊(救助・救援活動の情報など)
- 主要な報道機関:
- NHKや主要なテレビ局、新聞社、通信社など
- インフラ関連企業:
- 電力会社、ガス会社、水道局、交通機関など(ライフラインの復旧状況など)
これらの機関は、公式のウェブサイトやSNSアカウントを持っています。普段から、お住まいの自治体やよく利用する交通機関などの公式情報を確認できるよう、スマートフォンの「お気に入り」に登録したり、SNSでフォローしたりしておくと、いざという時に役立ちます。(※SNSのフォロー方法については、別の記事でもご紹介しています。)
SNS情報の真偽を確認する3つのステップ
SNSで気になる情報を見つけたら、慌てずに次の3つのステップで確認してみましょう。
ステップ1:情報の発信元を確認する
まずは、その情報が誰から発信されているかを見てみましょう。
- 公式アカウントか確認する:
- 公的機関や企業、報道機関などの名前で投稿されていても、それが本当に公式のアカウントかどうか確認します。SNSには「認証マーク」と呼ばれる、そのアカウントが本物であることを示す印がついている場合があります。例えば、青い丸に白いチェックマークなどがそれにあたります。このマークがあるかどうかが一つの目安になります。
- また、過去の投稿の内容を見て、普段からどのような情報を発信しているアカウントなのかを確認することも参考になります。
- 個人からの情報の場合:
- 個人の投稿全てが間違っているわけではありませんが、個人の見聞きした情報は、その方の視点に限られていたり、誤解が含まれていたりする可能性も考えられます。あくまで「一つの情報」として受け止め、すぐに正しいと判断しないことが大切です。
ステップ2:複数の信頼できる情報源と照らし合わせる
情報の発信元だけでは判断が難しい場合や、重要な情報だと感じた場合は、他の情報源でも同じ情報が出ているかを確認します。
- 公的機関の公式サイトやSNSを確認する:
- スマートフォンのインターネットを見る機能(アプリ)を開き、気象庁のウェブサイトや、お住まいの市区町村の公式ウェブサイトを確認してみましょう。
- または、SNSで公的機関の公式アカウントを探して、同じ内容の投稿がないか見てみましょう。
- 「〇〇市 避難所」のように、知りたい情報のキーワードと公的機関の名前を組み合わせてインターネットで検索するのも良い方法です。
- 主要なニュースサイトを確認する:
- NHKニュースや大手新聞社のニュースサイトでも、同じ情報が報道されているか確認します。多くの信頼できる情報源が同じことを伝えているなら、その情報は正しい可能性が高いと考えられます。
ステップ3:不自然な点や感情的な表現に注意する
情報の「内容」そのものにも注意を払います。
- 内容が具体的で正確か:
- 「〜らしい」「〜と言われています」といった曖昧な表現が多い場合や、場所や時間がはっきりしない情報は注意が必要です。
- 極端に感情的な言葉で不安を煽るような内容にも注意しましょう。
- 写真や動画の場合:
- 一緒に投稿されている写真や動画が、今回の災害のものであるか、映っている場所は本当にその場所か、といった点も判断材料になります。古い災害の映像を今回のものとして投稿するケースもあります。
それでも判断に迷うとき
ステップを踏んでも、情報の真偽がどうしても分からない場合もあるかもしれません。そのような時は、以下の点を心がけましょう。
- 安易に他の人に伝えない(拡散しない): 不確かな情報を広めてしまうと、混乱が広がります。正しいと確信が持てない情報は、他の人に教えたり、SNSで他の人が見られるようにしたりしないことが重要です。
- 信頼できる人に相談する: ご家族や知人など、信頼できる方に相談してみるのも良いでしょう。
まとめ
災害時におけるSNSは、非常に強力な情報収集・伝達の手段です。しかし、その速さゆえに不確かな情報も混じりやすいという側面があります。「ステップ1:発信元を確認」「ステップ2:複数の信頼できる情報源と照合」「ステップ3:不自然な点に注意」という3つのステップで情報を確認する習慣を身につけることで、デマに惑わされず、必要な情報だけを落ち着いて手に入れることができるようになります。
こうした情報確認の習慣は、普段から少し意識しておくだけでも、いざという時にきっと役に立ちます。SNSを安心・安全に活用して、災害を乗り越えるための一助としてください。